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【レポート】2013/03/23 kinologue × “いただきますの日” フィンランドのまなびシリーズ 第2弾 『かもめ食堂』 『かもめ食堂』がフィンランドに伝える日本の食文化@カタリストBA

2013年3月23日 (レポート)

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今回は初めての「いただきますの日」さんとの共催企画。期せずしてお花見のピーク日となってしまい、当日キャンセルを覚悟していたが、申し込み頂いた殆どの方が参加で嬉しい限り。場に対してのこちらの配慮が足りず、若干硬い雰囲気でスタートし、先ずはそれぞれが持つフィンランドのイメージと共に簡単な自己紹介を30秒ずつ。『かもめ食堂』を何度も観てる方、初めて観る方、フィンランドのデザインに興味がある方、教育に関心がある方・・・ここに集まったきっかけがそれぞれ興味深く、ツッコミたいのをぐっとガマンして、上映開始。

会場のカタリストBAのスクリーンが大きくなって、音も含めて迫力があり、30人で観るのがとても贅沢。昨年に続いて映画の中でシナモンロールが出てくるタイミング=開始から約40分後の「ミドリさん、シナモンロール作りましょうか」のサチエさんの台詞を合図に、cocociさんのシナモンロールを運ぶ。フィンランドでも食べたことがない甘さが抑えられた絶品シナモンロールの美味しさの秘密は、上にかかっているクリームチーズのソース。なかなかカフェのように上手くサーブ出来ないもどかしさがありつつも、五感で映画を味わう楽しさを感じて頂けたようで、良かった。

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映画上映後「フィンランドのまなびシリーズ」と映画教育教材を作っているフィンランドのNPO・koulukino(コウルキノ)を紹介。フィンランドを舞台にした初めての日本映画『かもめ食堂』をフィンランド人はどう観たのか、興味深い視点で作られている教材を「他の国から見たフィンランドのイメージ」「異文化との出会い、友情」「女性の地位、出生率」「プロダクトプレイスメント、メディアリテラシー」「料理、ソウルフード」といったトピック別にそれぞれ説明。どのトピックも広がりがあるテーマだが、その中から今回のダイアローグテーマに選んだのは「料理、ソウルフード」。事前情報として、知り合いのフィンランド人たちに聞いたフィンランド人のソウルフードも紹介。アンケートでの一番人気はロシアに接しているカレリア地方の伝統料理カレリア・パイ。マッシュポテトの付け合わせとベリーのソースのトナカイの煮込みやライ麦パンと一緒に食べるサーモンのスープと並んで、コーヒー&シナモンロールを挙げた人も多かった。

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いよいよダイアローグを開始。先ずは「サチエさんがなぜ「かもめ食堂」のメイン料理をソウルフード=おにぎりにこだわったのか?」を切り口に「ソウルフードとは何か?」、当たり前になっている日本の食文化を見直してみるダイアローグを4~5人のグループに分かれて行なってからグループごとに発表。「ソウルフードは想い出とつながっている」「フィンランドのソウルフード=シナモンロールを出したことが大きかったのでは」「おにぎりは思いがこもる」「おにぎりは子どもでも作れるところがすごい」「みんなで作ってみんなで食べるのが日本人的」「(合気道をやっている)サチエさんには軸がある。軸があるからこそフィンランド人にも受け入れて貰えたのでは」「美味しいものは残さず食べるし、一緒に食べると仲良くなれる。あり方そのものを問う教育的なもの」などなど。おにぎりがフィンランドで受け入れられた(かもめ食堂が満員になった)理由が見えてくる意見が数多く出た。

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ダイアローグ2本目はグループを変えて、フィンランドに日本の食文化を伝えるための、より具体的なアイディアを話し合う。『かもめ食堂』のロケ地であるヘルシンキの食堂Kahvilla Suomiで、8月10日に予定しているワークショップで何が出来るかを考えて発表。「おにぎりを作る!」というアイディアはやはり多く挙がったが、その心は色々。「他の人が握ったものを食べて貰う。“握る”ことの意味を伝える」「(映画の中ではイマイチだった)トナカイなど馴染みのあるフィンランドの食材を使ったおにぎりを、日本風にアレンジした味付けで作って食べて貰う」「おにぎりの想い出を語ることで、ソウルフードの意味を伝える」「マイおにぎりをつくる」など。そして、「フィンランドのソウルフードを持ってきて貰う」「同じ食材または見かけが似ている料理を、フィンランド料理と日本料理として作り比べて、共通点を探してみる。例えばミートボール&つくね」「フィンランドのソウルフード・食文化を理解するために、じゃかいも掘りから体験してみる」など、フィンランド人に自分たちのソウルフードを改めて考えて貰うきっかけを作ったり、日本と比較することでお互いに理解を深め合うというアイディアなど。どのアイディアにも通じているのが、日本の食文化に流れる精神、おもてなしの心、「いただきます」「ごちそうさま」を伝えることだった。

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ダイアローグが深まってきたところで、リフレクション。「『かもめ食堂』ってやっぱりいいな」「おにぎりってすごい!」「好きな映画をたくさんの人と語って、共有出来たことが楽しかった」「食に対する気持ちが深まった」などの声。一方で『かもめ食堂』のような、ふわりと心地良い映画をここまでマジメに語ることの違和感、「日本の食文化を伝える」という大風呂敷がボンヤリとしてゴールが見えづらかったという声も。恐らくこんなに深く『かもめ食堂』を語った場や時間はないだろう。そこまで語ることが求められていない映画かもしれないという不安は多少あったので、ここまで深く語れた事実に驚かされ、映画『かもめ食堂』の力を改めて感じ、ダイアローグに合う映画・合わない映画を見極める目の大切さも実感した。シンプルで誰にでも関わりのある「食」をテーマにしたダイアローグは尽きることがない。ダイアローグの中での気づきを、自分の生活の中での具体的なアクションにつなげていけそうな気がした時に、ゴールではないが、見えてくるものがあるのかもしれない。最後に「対話は素材を持ち合っての料理みたいなもの」という発言に納得した。みんなで作って、みんなで味わうのは、やはり楽しいのだ。

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